不眠症の人や抗うつ薬で治療中の方で、たまに夕方から夜にかけてじっとしていられなくて眠れないと言われる方がいます。パニック障害の人では、じっとしていられないことで不安の発作につながってしまうこともあり、少々厄介な状況になります。話を聞くとRLS(Restless Legs Syndrome:むずむず脚症候群)だなと思うことがあり、ある程度対処可能なものなので一度紹介します。
RLS(むずむず脚症候群)とは
特徴
RLSは、脚を動かしたくてたまらない感覚が生じ、多くの場合「むずむず」「ちくちく」「虫が這う」ような不快感を伴う病気です。病態はまだ完全には分かっていませんが、脳内の鉄利用やドーパミン系が関係すると考えられています。ただし、単純に「ドーパミン不足」だけで説明できるものではありません。名前は“脚”ですが、腕などほかの部位に症状を感じる方もいます。
主な特徴は
- 脚を動かしたくてたまらない感覚があり、不快な感覚を伴うことが多い
- 座る・横になるなど安静時に始まる、または悪化する
- 歩く、脚を動かすなどで一時的に軽くなる
- 夕方から夜間に強くなりやすい
診断はこのような症状の組み合わせと経過から行います。RLSだけを確定する検査はありませんが、鉄欠乏の有無をみるためにフェリチンやトランスフェリン飽和度などを調べたり、似た症状を起こす別の病気や薬の影響がないか確認したりします。
長時間の座位、睡眠不足、カフェインやアルコールなどで症状が悪化することがあります。妊娠、腎機能障害、鉄欠乏などに伴って起こることもあります。また、一部の抗うつ薬や抗ヒスタミン薬などが症状に影響する場合がありますが、服用中の薬を自己判断で中止しないでください。
鉄欠乏は重要な関連要因ですが、鉄やビタミンを自己判断で始めればよいわけではありません。鉄の過剰投与にも害があるため、必要性は採血結果や体の状態を確認して判断します。
治療
まず、睡眠習慣、カフェインやアルコール、運動不足、症状を悪化させうる薬などを確認します。鉄補充が必要な場合は、検査値や症状、吸収の状態などに応じて経口薬または点滴を医師が選びます。点滴が常に経口薬より望ましい、というわけではありません。
薬物療法では、ガバペンチン系の薬やプレガバリンなどが選択肢になります。一方、以前よく使われたドパミン作動薬は、長期使用で症状の出る時刻が早まり、範囲や強さが増す「augmentation(症状増悪)」が問題になるため、現在は日常的な第一選択として安易に使わず、必要性を慎重に判断します。クロナゼパムも、眠気や認知機能への影響などがあり、RLSそのものへの標準的な治療として一律に勧める薬ではありません。
まとめ
RLSのせいで眠れなくなることがありますし、なにより落ち着くことができなくなるので疲れます。つかみどころのない症状なので自覚や特定が難しいのですが、似た症状がある場合は、薬やサプリを自己調整せずご相談ください。