こんにちは。
今日はこんな記事を読みました。
AIが薬の効果を予測した
英語の記事ですが、セルトラリンという最近多く使われるSSRIという種類の抗うつ薬の効果がどれだけ有効か予測できるAIを作ったというような内容です。ついでにうつ病の方の2/3には薬があまり効かないことが分かったそうです。
SSRIは”うつ病エピソード”という基準を満たすうつの状態の方に処方され、セルトラリンだと最初は1錠(25㎎)から1・2週間くらい毎に増やし3・4錠使用することがオーソドックスな使用方法になります。十分量使ってから効果をみるので効果があるかどうかは記事にあるように8週間くらいかかることが普通なのですが、これを使うと1週間でわかるそうです。まさにAIがすごい、という記事ですね。
ただ、この記事をみていて私が気になったのは前述した、ついでに~以下のところです。この研究ではおそらくDSM※でいう大うつ病性障害を満たす方対して使ったのでしょうが、1/3しか効いていません。少なくとも半数くらいは効くという認識だったのですが、より少なくなっていますね。SSRIはうつの薬と言っていいのか自身がなくなってきます。
とはいうものの、自身の経験ではかなり効く方がいます。むしろないとどうしようもなかった経験がありましたので、SSRIが全然だめな薬というわけではないようです。
違いは何だろう
じゃあなぜ効く人と効かない人がいるのでしょうか。遺伝子の違いとは言われています。肝臓の代謝酵素(薬効成分を分解する)やら受容体の感受性やらとは言われていますが、まだよくわかっていないようです。ただ今回の記事ではAIは脳の血流と臨床症状から予測しています。感情調節に関与する脳の前帯状回の血流が薬の有効性を予測すると示唆、とのことなので、SSRIが効く脳の特定の状態があるようです。
いろいろ考えましたが、どうやらうつにもいろいろ種類があるということですね。この違いはうつ病と適応障害とー、とかいう診断名の違いではなく脳の状態の違いというのがややこしいところですね。
治療を優先する場面では精神科の病名は話半分に聞いておいてもらったほうが良いかもしれません。
※アメリカで作っている精神科病名の基準集、研究場面でよく使う。日本でもよく使う。