男性更年期障害の経済効果?|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

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男性更年期障害の経済効果?|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

気分やこころにお悩みのある方

最近、こんな記事を読みました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/550f000123981ab46c73ad65b90c98baa3fd858e

この記事によると、男性更年期障害で約1兆2千億円の経済損失があるそうです。経産省が算出したそうです。

男性更年期障害はテストステロンの減少によって起こりますが、正常な加齢でもテストステロンは減少するので、これほどの経済損失があるとは考えにくく、少し調べてみました。

男性更年期障害とは

男性更年期障害は、テストステロンなどの男性ホルモンの減少に伴って現れる症状の総称です。一般的な症状には、疲労感、気分の落ち込み、集中力の低下、性欲減退などがあります。

加齢でもテストステロンは減少し、50歳以上の男性の相当数が、若い男性のテストステロン欠乏症を定義するのに使用される閾値を下回るそうです。これらの変化は、勃起障害(ED)、除脂肪体重の減少、皮膚の変化、骨粗鬆症、内臓脂肪の増加など、男性の加齢に伴う典型的な兆候の多くの原因とも言われています。

この時点で、すでに男性更年期障害と加齢の区別がつきませんね。

男性更年期障害の診断

男性更年期障害(加齢に関連するテストステロン欠乏症)の診断は複雑で、単一の基準だけでは判断できません。以下の要素が関係するようです:

・臨床症状:性欲減退、勃起障害、疲労感、気分の落ち込み、集中力低下などの症状

・血清テストステロンレベル:総テストステロンと遊離テストステロンの測定が重要です。一般的に、総テストステロンが300 ng/dl(10.4 nmol/L)未満、または遊離テストステロンが220 pmol/L(64 pg/ml)未満の場合に低テストステロン血症と考えられます

・他の内分泌検査:黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチンの測定

・除外診断:他の原因(甲状腺機能低下症、うつ病など)の可能性を排除

注意点として、テストステロンレベルには日内変動があるため、朝(午前7時から11時の間)の採血が必要です。それも複数回行う必要があります。

治療法

男性更年期障害の治療には、ホルモン補充療法と非薬物療法があります。非薬物療法としては、生活習慣の改善、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理が重要です。これってアンチエイジングそのものですよね。

気になるホルモン補充療法の効果ですが、とりあえず確実そうなのが以下になります:

  • 性欲の改善や勃起機能の回復
  • 除脂肪体重(筋肉量)の増加や筋力の向上
  • 骨密度の改善や骨粗鬆症の予防
  • 全体的な気分やエネルギーレベルの向上

とりあえずこれを見ると、効果はありそうですが、これは若年男性の低テストステロン症患者への効果のようで、実際の高齢?男性に対しては議論の余地があるようです。プラセボ効果が強いみたいです。

企業の取り組み

記事によると、先進的な企業では従業員の健康管理の一環として男性更年期障害への対策支援を始めているそうです。基本的には不調時の休暇を取得しやすくしているようで、これ自体はとても良いことだと思いますし効果も期待できると思いますが、男性更年期障害と関係ないのでは…。

まとめ

これを見てみると、男性の更年期障害と加齢の影響の区別がつきません。経産省は休業や業務効率の低下から1兆2千億円という数字を出したようですが、これは男性の更年期障害が原因というより、労働人口の高齢化によって起きたのでは?

アウトプットとして、休養を取得しやすくしたり、労働者の健康へ配慮することが休業者を減らし業務効率を上げることにはつながると思いますし、対策の効果は出ると思います。でも”男性更年期で”という解釈は無理筋じゃないでしょうか。少なくともホルモン補充療法に1兆円近くの経済効果があるとは思えません。