ベンゾジアゼピン系薬剤と認知症|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

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ベンゾジアゼピン系薬剤と認知症|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

薬物療法は必要最低限を目指します

こんにちは。

開業に際して知識などを得る機会が少なくなってくるので、改めて知識のリフレッシュを図っているところです。

ベンゾジアゼピンとSSRI

直近は薬物療法について学会のラーニングなどを見ていたりしますが、いわゆるベンゾジアゼピン系と呼ばれる薬について反省点がありました。

ベンゾジアゼピン系薬剤とは、ジアゼパムやトリアゾラム、エチゾラム、アルプラゾラムやロラゼパムなどのことで、睡眠薬とか不安を抑える薬などと言って使うやつです。以前から依存性や乱用などから問題視されていました。海外だと親の仇のように書いてある記事などよくありました。実際に親の仇だったのかもしれません。私自身もよく使っていました。もちろん乱用には気を付けて可能な限りSSRI(抗うつ薬の一種)に置き換えることを心掛けていたつもりですが、SSRIがダメな人も多いのとSSRIだと本当の緊急時の対処が難しいんですね。

日本でも一時期認知症になる、と広まり患者さん方が不安になっていたことがありました。その時調べた際には認知症にならない(なるとは言えない)という研究もあり、海外の過剰な反応も踏まえると何とも言えなかったのですが、直近の話だとそうでもないようです。

ベンゾジアゼピンと認知機能低下

副作用としてふらつきやめまい、眠気などを起こすというのはよくあったのですが、追加で双極性障害で症状の再燃を引き起こしやすくするなどというちょっと機序(どうしてそうなるのかという仕組み)がよくわからない研究結果でました。つまり副交感神経(全身をリラックスさせる方向に促す神経)を亢進させる他になんかやっているようなのですが、それが、小難しいことを省くと、TSPOといううつ病で認知機能が低下することに関係するたんぱく質にも作用してシナプスを減らすことのようです。もっと簡単に言うとベンゾジアゼピンを長期間続けているとうつ病と似たような認知機能の低下をきたすということです。こうなるのはベンゾジアゼピンを1年とかそれ以上続けて使用したときなようで、1か月とか短期間の使用ではほとんど問題ないようです。

ここで注意なのが、認知機能の低下と認知症はちょっと違います。物忘れが増えるなどは同じですが、認知機能の低下は単純な低下で認知症は一般に元に戻りません。うつ病の認知機能低下は治療すれば戻りますし、ベンゾジアゼピンのほうは中止すれば戻るようです。

やはりというかベンゾジアゼピンはやめていったほうがよさそうですね。今後はもう少し減らすように説明してゆこうと思いました。

ベンゾジアゼピン系薬剤を使用の方で不安な方がおられればご相談ください。