こんにちは
ひきつづきうつについてやっていこうと思います。うつ病といってもいろいろある、というように前に書きましたが、それに関連してうつ状態の原因というか分類についてみてみます。大きく4つに分かれます。
原因不明のうつ
原因不明のうつ、と書くと何やら不穏な感じがしますが、大うつ病性障害、双極性感情障害などは脳のどこがどのように異常かがわかっていないので分類するとこうなります。ほかには持続性抑うつ症という年から年中軽い抑うつ気分が続くようなものや、双極性感情障害とまではいかずとも軽度の気分の波を繰り返している気分循環症などがそれにあたります。よく精神科で扱うのがこのカテゴリになりますね。
薬剤性/医原性のうつ
薬の影響や治療の影響でうつを引き起こすものを言います。医療ミスか⁉と思われるかもしれませんが、医療をまじめにやっていてもどうしても起きてしまうものもあります。例えばアレルギーや膠原病(自己免疫の異常による疾患)などの治療でよく使われるステロイドの使用、甲状腺(のど元にある体の新陳代謝などを調整する臓器)の治療、肝臓病などに使うインターフェロン、重度のパーキンソン病などに行う深部脳刺激治療などからうつ状態を呈することがあります。その他、お酒や薬物などの中毒、離脱症状によって起きるうつ状態もここに分類されます。お酒もうつを起こしますよ。
脳神経の病気によるうつ
ある程度原因が特定されている脳の病気で起きるうつです。パーキンソン病やハンチントン病、ウィルソン病など脳の基底核(脳内の神経細胞が特に集まっている部分を神経”核”といいます。)を変質させる病気や脳梗塞、脳出血などの脳血管の病気、感染症などによる脳の炎症、脳腫瘍、認知症、てんかん、外傷による脳挫傷、多発性硬化症(いろいろな脳神経がたびたび悪くなる病気)などで起きます。意外に多いです。
その他
なんでしょうこの教科書(Neuropsychgiatry and Clinical Neuroscience)ですが、その他。見ると脳を巻き込む病気以外のものを言っているようです。例えば甲状腺機能亢進症、クッシング症候群(体内のステロイドが異常に増加して起きてくる病気)ビタミン欠乏症(特にB12)、自己免疫疾患などで、よくよく見ると薬剤性、医原性に近いようなものですね。自己免疫疾患などはステロイドで治療をしていたらどちらでうつになっているか判別つかなくなりそうですね。正につかないのですけど。
油断していると、
ちょこっと見ても結構な種類の原因がありますね。日々の診療で、うつ病だ!と勇んで治療を行っていると実は体の病気であったということが多々あります。経験上、特に甲状腺などは日本人の女性で多く異常が見つかるようで、血液検査などをすると異常を目にします。そういう方のうつには少なからず影響していそうですが、どこまで影響するのか判別できないので「内分泌の先生に診てもらって」と言いますけど「治療閾値以下です(この程度の異常なら治療の必要ありませんの意)」といわれたりして、さあどうしよう、となります。結局薬物療法を勧めることが多いですけどね。
メンタルだと思っても体のこともあるので油断せずに行きたいものです。