うつと運動|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

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うつと運動|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

こんにちは

またうつか、と言われるかもしれませんが、うつに対する運動の効果について新しい知見がでたみたいなので紹介したいと思います。

うつと運動

運動はうつを良くします。ここはほぼ間違いないと思われますし、私もうつの時はそのように指導したりします。ウォーキングなどでBDNFという神経細胞やその周辺の細胞を増やしたり強くしたりする因子が出るようで、ここらあたりがうつに対する効果の基盤と言われています。ただ、どんな運動をどれくらいの時間、どれくらいの強度をどれくらいの頻度でやればよいか、ということについては、研究者がみんな好き勝手に研究する(ランニング、ウォーキングのほかに、ヨガや太極拳など特殊なものの効果を実証しようとしたりするので)ので実はよくわかっていなかったりします。そもそも運動とは何ぞや、というところからしてバラバラだったりして分析にも限界があり、はっきりとしたものがなかったんですね。WHOとかでも週3回以上云々と書いていたりしますが(だいたいの研究で週3回以上やっていると効果が出るので)裏付けが微妙だったりします。今回の研究については、統計的な手法を駆使してそこら辺の問題をできる限り解決して分析してみたところうつには軽い運動よりもヨガや筋トレなど激しめのほうがよさそう、ということが分かったそうです。

運動の種類

結果については基本的に運動は良い効果があるものの、最も効果的な運動形態はウォーキングまたはジョギング、ヨガ、筋力トレーニング、ダンスでした。ウォーキングやジョギングは男性と女性の両方にとって効果的、筋力トレーニングは女性にとってより効果的であり、ヨガや気功は男性にとってより効果的とのこと。加えてヨガは高齢者の間でやや効果的であり、筋力トレーニングは若い人々の間でより効果的でした。

高負荷の運動が良いらしい

運動の効果は運動の強度に比例する傾向があり、激しい活動でより良い結果がでたとのこと。ここで、強度についても研究によって定義がかわるのですが、だいたいが1~2回やったらへたるくらいのものだったり、心拍数が平常時の2倍になるくらいのものを最高としてやっていることが多いのでそのくらいと思ってください。うつに対しても筋肉は裏切らないのかもしれません。

実際のところ

この論文ではいろいろ限界について書いてありますが何より問題なのが、うつ真っただ中の人に高負荷の運動を促せるかというところです。普通に考えて難しい気がしますね。また、慢性疲労症候群のような消耗的にうつになっている方に対して運動は禁忌ともいわれるので現実的なのは軽負荷の散歩などから始めて徐々に負荷を挙げてゆくほうが良いように思います。

https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-075847