セントジョーンズワートと抗うつ薬について|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

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セントジョーンズワートと抗うつ薬について|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

こんにちは

今回はセントジョーンズワートについてです。

セイヨウオトギリソウ

日本語で言うとセイヨウオトギリソウで、その花や葉、茎からアルコールなどで抽出したものを使います。セイヨウオトギリソウは2000年ほど前には薬用として使われていたようでヒポクラテスなども言及していたようです。

基本的にうつや不安に効くので最近はDHC社などから日本でもサプリとして手に入ります。古くから使われ効果があると認識されていますが、なぜ効くかというのは実は詳しくわかっていません。ハーブの中では最もと言ってよいくらい研究されているようですが、有効成分すら厳密には特定されていないくらいの状況です。有効っぽい成分はいっぱいありますが、既存の理屈に合わない点が多いのですね。そもそも抗うつ薬ですら効いたり効かなかったりするので難しいところです。

抗うつ薬の効き方

モノアミン仮説というものがあります。モノアミンというのはドーパミン(医学書ではドパミンと書くことが多い)やらアドレナリンやらセロトニンやら脳内で神経の信号を伝える化学物質全般のことを言います。モノ(一つの)+アミン(窒素と炭素の分子がくっついたような化合物)で似たような構造を持つ物質をまとめてモノアミンと言います。神経の信号の伝達に必要な物質で、これらが多かったり少なかったりするとうつ病や統合失調症などの精神症状を呈するというのがモノアミン仮説になります。この理屈に基づいて精神科の薬が発見された/作られていったという形になります。とはいえ、うつ病でも、躁うつ病でも統合失調症でも厳密にいうと全部バランスがくるうので仮説としてはおおざっぱすぎるものになります。よって賛否両論あります。とはいえ、SSRI(セロトニン選択的取り込み阻害薬)といううつの薬は神経同士の隙間―シナプスと呼ばれるところで役目を終えたセロトニンが回収されるの邪魔して結果的にセロトニンの量を多くしますし、服用するとうつに効くのでモノアミン仮説は概ね正しいのだろうなと思われるわけです。

セントジョーンズワートでは

さて、セントジョーンズワートでもうつに効くのだからそこらへんに作用するんだろう、と研究がされました。最初に考えられたのはパーキンソン病(中脳などでドパミンが出なくなり動きや表情に問題が出る病気)などの薬で、MAO阻害薬というモノアミンの分解を邪魔してドパミンなどの量が増やすものがあります。セントジョーンズワートもこの効果があるのではないか、と研究を進められました。セントジョーンズワートの抽出液にはこの効果があったのですが、注目されていたHyperforinという成分にはこの効果がないようでした。続いてSSRIのような取り込み阻害ですが、これも抽出液にはこの効果がみられましたが、やはりHyperforinにはないようでした。なんなんだHyperforin・・・(モノアミンのグルタミン酸に関係しているようです)

そのほかにもドパミン受容体だったり、GABA受容体だったりと効果を及ぼしますが、どの成分がどこにどれだけ効果があるとかが複雑すぎて研究しきれていないようです。

イメージとしては三環系抗うつ薬みたいなものでしょうか。サプリにしてはちょっと手に余るかもしれません。