こんにちは
うつのことを書いていたら、専門はうつ病なのかと方々に聞かれましたがそんなこともないので別の記事も書こうと思います。
今更ですがブログを書く理由としては自分が患者さんに説明しやすいようにまとめるためということが大きいです。なので来られた方の問題点で関係のあるものをまとめています。最近、新型コロナウィルス感染後遺症としか思えない方がちらほらみえて、まだあまりわかっていない分野でもあるので一回まとめようと思いました。調べてみるとコロナが猛威を振るっていた時期に感じていた、”今まで安定していた人の急激な悪化”や”やたら不眠の人がいる”ことや心因(ストレスなどの原因)のはっきりしない”うつ状態”もしくは”疲労状態”ももしかしたらこいつのせいだったのでは、と思えたりしてなかなか奥深いものがありました。個人的な興味である”精神科医は臨床症状からうつ状態と疲労状態を区別できないのでは”という疑問にもつながるところでもあります。やはり長くなるのでどこまで適当なところで分けていこうと思います。
コロナ感染の後遺症
海外のほうではlong COVIDといって症状の遷延(症状が長く続くこと)をまとめていっているようです。日本でいう新型コロナウィルス感染後遺症もこの中に入っています。話の中心は精神神経的な症状なので味覚・嗅覚の消失とか疲労倦怠感、ブレインフォグなどを中心に見ていこうと思います。
コロナウィルスは至るところに潜伏する
新型コロナウィルスの症状で目立つのはやはり呼吸器症状でしょうが、どうやらそこを乗り越えても体内のあちこちに潜伏しているようです。それこそ胃腸や生殖器などにもいるようでいろいろよくない症状を起こしているようです。もちろん脳などにもいるので神経の症状も起こします。
コロナ感染によって起きる神経の症状
今のところ、感覚運動症状、記憶喪失、認知障害、知覚異常、めまいやバランス障害、光や音の過敏、嗅覚や味覚の喪失(または幻覚)、および自律神経機能障害などがあるようです。これらはコロナの症状が治まるとともに落ち着くこともあれば2年近く持続するものもあるようです。脳のなかで免疫を担当するミクログリアという細胞の挙動がおかしくなり脳の萎縮(ダメージを受けて縮むこと)がみられるようです。ざっくりいうと脳内で炎症が起きて続いてしまうようです。
慢性疲労症候群とコロナ
慢性疲労症候群というのを聞いたことがあるでしょうか。運動してもすぐ疲れてしまう、座っていて立ち上がる際に鼓動が早くなる、物覚えが悪くなるなどの症状が持続して起こり、EBウィルスやヒトヘルペスウィルスなどのウィルス感染などに原因があるのではないかと言われているものです。なんでこれが出てくるかというと、コロナの神経症状と被るからですね。加えて、コロナに感染した場合、EBウィルスやヒトヘルペスウィルスなどのウィルスが再活性化したというケースも見られたりするようです。ただ、コロナが原因なのか、ほかのウィルスが原因なのかなど原因については決着はついていません。わかっているのは脳で炎症が起きていることです。具体的に言うとグルタミン酸という脳内伝達物質(電気的ではなく化学物質として神経細胞の信号を運ぶもの)
治療法は・・・。
そこまでわかってきているなら治療法も、と思いますが残念ながら今のところ慢性疲労症候群を含めて確立された治療法はないようです。ただ実験的にはちらほら出てきているようです。
つづきます。