チェストベリーと月経前不快気分障害|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

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チェストベリーと月経前不快気分障害|人形町駅前こころのクリニック|人形町駅 の精神科・心療内科

こんにちは

月経前不快気分障害のかたがプレフェミンという市販薬でよくなったと聞いたので早速調べてみました。

月経前不快気分障害(PMDD)

月経前不快気分障害というものがあります。女性の生理前に不安、不眠、情緒不安定などを呈する障害です。いわゆる月経前症候群(PMS)と同じものですが、精神科として診断する際はこのことを言います。過去の文献では「狂気に満ちた」と形容されるほどの状態を呈することもあるようです。

少し詳しい状態をいうと、女性の月経前には脳のドパミン(やる気物質?)の調節が難しくなりドパミンが減ってしまうことがあります。ドパミンは普段プロラクチンという乳汁分泌などを促すホルモンを抑えているのですが、それが足りなくなるとプロラクチンが大量に出てしまい胸が張ったり、痛みなどを感じるようになります。これがひどいとPMSと呼ばれるものとなりますが、一方、ドパミンは人間の精神の中核的な化学物質なのでついでにいろいろ精神症状を起こしてしまうようです。

チェストベリー(チェストツリー)

プレフェミンという薬はチェストベリーエキスが主成分とのことです。チェストベリーは地中海あたりに咲くセイヨウニンジンボクの実のことで胡椒のようなピリッとしたハーブです。昔から女性の不調に対して使われていたらしいですが、最近(といっても2,30年くらい前)研究が行われ、クレロダジェノールという成分がドパミンを増やすということが分かったようです。そのほかにもエストロゲン(女性ホルモンの一種)を活性化する物質が入っていたりするようですが、ドパミンに強くかかわるのはクレロダジェノールという物質のようです。

ドパミンが増えることで前述のプロラクチンが増えず、精神症状も落ち着くということですね。

ドパミンが増える

基本的にはチェストドパミンが増えるのですが、実は増えすぎてもよくありません。怖いところで覚せい剤などは違う作用でドパミンを増やしますが、やりすぎるとよくないことは周知のとおりです。しかし、チェストベリーに関しては容量を多くすると逆にドパミンを抑える方向に働くようで安全性についても問題ないとされています。割と安心ですね。

こう見るとドパミンが増えるのでうつ病や注意欠陥多動性障害とかパーキンソン病にも効きそうですが、そちらの研究はまだないようです。

クレロダジェノール

ならこのクレロダジェノールで薬を作れば、と誰しも考えますが、残念ながら非常に不安定な物質らしく化学的に一工夫しないといけなくなるので実用化はされていません。チェストベリー抽出液としてしか使えないので医薬品として登録できるか微妙なところですね。市販薬としては良いのでしょうが。

1か月周期で好調不調の波がある方は試してみてはいかがでしょうか。